周易(易経)の基礎知識|変容する世界の理を読み解く

「易」とは、天体の運行や自然の理、人間社会の変遷を「陰」と「陽」の二元論で捉えた東洋最古の古典体系です。単なる占いを超え、儒教における五経の筆頭『易経』として、宇宙の根本原理と人間の在り方を説く深遠な哲学を含んでいます。

1周易の歴史と「四聖」の功績

周易の成立には、四人の聖人(四聖)が関わっていると伝えられています。伝説上の聖人・伏羲(ふっき)が八卦を創出し、周の文王が六十四卦と卦辞を整え、その子である周公旦が爻辞を加え、最後に孔子が「十翼」と呼ばれる注釈を付したことで、今日の深遠な体系が完成しました。

歴史的には、数理や象徴を重んじる「象数易」と、人間社会の倫理や哲学を読み解く「義理易」という二大潮流を経て発展しました。江戸時代の日本では、新井白蛾らによる「実占主義」が興り、単なる学問を超えた実践的な占術として庶民の間にも広く浸透しました。

2宇宙の生成論と「八卦」の成り立ち

太極(たいきょく)

万物の根源であり、あらゆる存在の源。ここから「陰」と「陽」の二つの気が生まれます。

陽(⚊)と陰(⚋)

この二つの要素を「爻(こう)」と呼びます。爻が三つ積み重なることで、一つの「卦(か)」が形作られます。

四象・八卦

陰陽の組み合わせにより、自然界の基本となる八つの要素(天・沢・火・雷・風・水・山・地)が誕生しました。

八卦は、この世界のあらゆる現象を八つのカテゴリーに分類した象徴体系です。これらがさらに二つ重なり合うことで、より複雑な事象を表す「六十四卦」へと発展します。

3八卦が象徴する自然界の諸相

八つの卦は、それぞれ異なるエネルギーと性質を持っています。これらを理解することが、易の深淵に触れる第一歩となります。それぞれの卦が持つ意味と自然界の象意です。

乾(けん)・天

剛健で創造的なエネルギー。万物を導く「天」や「父」を象徴します。

兌(だ)・沢

喜びと調和。潤いをもたらす「沢(みずうみ)」や「少女」を象徴します。

離(り)・火

情熱と明晰さ。明るく照らす「火」や、知性を象徴します。

震(しん)・雷

躍動と衝撃。新しい始まりを告げる「雷」や、活動力を象徴します。

巽(そん)・風

柔軟さと浸透。どこまでも届く「風」や、柔和な徳を象徴します。

坎(かん)・水

困難と流動性。形を変えながら進む「水」や、険難を象徴します。

艮(ごん)・山

静止と蓄積。揺るぎない「山」や、止まるべき時を象徴します。

坤(こん)・地

受容と育成。すべてを包み込む「大地」や「母」を象徴します。

4八卦から六十四卦の世界へ

八つの基本的なエネルギーが上下に組み合わさることで、私たちの人生や社会で起こりうる「64の場面」が描き出されます。以下より、その具体的な様相をご覧ください。

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