通変星

通変星とは

通変は日干から年干・月干・時干を見たときに導かれる星のことですが、天体の星とは違って【架空の星】です。中国占星術はもっぱら『虚星(きょせい)』と呼び、好んで使っています。通変は十種類あります。それが性格や才能、人間関係など表面的に表れる事柄を表します。命式の十干の組み合わせから10種類の通変星を導き出します。比肩(ひけん)、劫財(ごうざい)、食神(しょくじん)、傷官(しょうかん)、偏財(へんざい)、正財(せいざい)、偏官(へんかん)、正官(せいかん)、偏印(へんいん)、印綬(いんじゅ)の通変星があり、それぞれ特徴があります。

通変星の一覧

比肩

十干同士が同じ五行で、なおかつ同じ陰陽のとき比肩となります。比肩は自分自身を表すだけでなく兄弟姉妹、身内、同僚、同業者などを表します。文字通り「肩を並べる」という意味から他人と同じ目線でいることを好み、ひいては他人より劣りたくない気持ちが強くなるので、負けず嫌いな性格が特徴です。比肩が2つ以上ある人は自我が強く、意志が強固でわがままになります。財星を叩くので、頑張って苦労してもお金に繋がらないことが多かったりします。月支の蔵干に比肩を持つと、独立心が旺盛になり20代、30代で独立する傾向が強いです。協調性を軽んじ、他人の束縛を嫌います。家業は継がず、新規に新しく事業を起こそうとします。他人に任せるより自分一人で何でもこなしたい人なので、共同経営は向かない性格です。そもそも比肩は自分自身を表すので基本的に吉でも凶でもないですが、他の五行のバランスで吉作用、凶作用になります。身弱(自分のエネルギーが弱い)の人が、比肩の時期になると自分のエネルギーを助けてくれます。

劫財

十干同士が同じ五行で、陰陽が逆のとき劫財となります。なお、陰陽逆の場合において陽干から陰干を見るとき『敗財(はいざい)』と呼ぶ流派がありますが、本書では劫財で統一します。劫財は比肩と意味が似ていますが、義理の兄弟姉妹、身内、友人などを表します。月支が劫財の人は、粘り強く、人から財を奪う、したたかさがあります。向上心が強く、他人から技術や才能を学ぼうとするエネルギッシュな性格です。仲間思いで、人を助けることに喜びを感じます。職業では看護師や介護士が多く、エネルギーが強い人は経営者も向きます。エネルギッシュですが劫財が2つ以上あると凶作用が生まれます。ひと昔前は凶星と伝えられていました。他人を蹴落としても成り上がる強引さ、ずる賢さ、自分だけ得しようと画策する裏の野心があります。特に人生経験が浅い人ほどその傾向が強く感じられます。 運気もアップダウンが激しく、突然成功して大きなお金が入ってきたかと思えば、長くやってきた悪事が明るみになって訴えられ、逮捕されるなど劇的な人生を歩むことがあります。

食神

日干から生じた干で、同じ陰陽のとき食神となります。衣食住に関して福があると言われ、衣食住に関連する仕事や行いが良いです。実際に接客業に携わっている人が多く、コミュニケーションが好きな人が多いです。また困ったときに必ず誰かに助けられるという福分の厚い性質もあります。凶事が他の通変星より少ないですが、食神は打たれ弱く、か弱い面もあります。偏印と相性が悪く、自分の命式中の食神の隣りか上下に偏印があると不調になりやすく、女性は婦人科系の病気にかかりやすくなります。精神的にタフではないので、辛いことが起きると一時的にふさぎ込み、立ち直りに時間がかかるでしょう。食神は比肩や劫財の自星から生じる関係にあるので、「自分から出る」という意味から、女性に取っては子供という意味になります。ですので、命式に食神を多く持つ人や、食神が巡る年は子供に恵まれやすくなります。食神を持っている人は食べることが好きなので肥満が多い、という理論がありますが、ぼくの経験上あまり関係ありません。食神を持つスレンダー美女を何人か知っています。また食神は2個以上あると傷官化するため『仮傷官』と呼ばれています。

傷官

日干から生じた干で、陰陽が逆のとき傷官となります。食神と同じく日干から生じる通変星ですが、その性質は大きく異なります。食神は穏やかで包むようなやさしい感じですが、傷官は手厳しくストレートにビシっとモノを言います。口がうまいので食神と同様コミュニケーションは得意ですが、余計な一言が多いのが特徴です。論理的に正しく話すので、プレゼンテーションが得意になります。傷官という名前は「名誉・権利を表す正官を傷つける星」というだけあって、攻撃的な面があります。自我から漏れ出す衝動が激しいので、学術や芸術方面に優れた才能を発揮する星です。実際に傷官を持っている人は、美容師、アーティスト、職人など、何かしら手に職を持っている人が多いです。財星を生むので、言葉を使ってお金儲けをすることを喜びます。女性で傷官が2つ以上あると夫を剋すので、結婚生活も変動が多くなります。傷官を持つ女性は美人が多く、『傷官美人』とも言われています。さらに傷官が3つ以上ある人は『鬼仏同宮』と呼ばれ、とても優しい反面、怒り出すと手がつけられなくなります。

偏財

日干から剋された干で、同じ陰陽のとき偏財となります。比肩から強く剋され、劫財からも少し剋されます。偏財は正財と同じくお金を表す財の星ですが、商売や流通などの意味があります。父親という意味がありますが、男性にとっては女性を表します。偏財が命式中に2つ以上ある人は、父を何人も持つ意味から母の再婚が多いとか、父と早く死別することを暗示します。年干に偏財を持つ人は、社交的で明るく派手を好み、物事や人間関係にルーズです。金使いが荒く、使うときには大きなお金を使いますので、あっという間に金欠になったりします。しかし大きなお金も入りやすいです。とくに偏財と劫財を一緒に持っていると自己破産寸前までお金を使うぐらいの危険性があります。職業的には大きなお金を扱う仕事が合っています。銀行や他人からの投資金を使ってお金を循環させることに向いているので、経営者も向いています。偏財は愛人や妾(めかけ)など正妻ではない女性を表しますので、偏財が廻る年は男性にとって浮気心や恋愛問題に発展しやすいです。

正財

日干から剋された干で、陰陽が逆のとき正財となります。偏財と異なり、コツコツやるのが性にあっていて、他人のお金をまわすより自分の身につく財の星を表します。正財を持つ人は、物事にきちんとしている人が多く、お金の管理も適切にやります。偏財のように派手なことを好まず、地道に地盤を固めて倹約に励みます。また合理的です。たとえば株や投資をやる場合、偏財は一獲千金を狙うような投資の仕方をしますが、正財は儲けは少ないが確実に勝てるやり方を好みます。仕事も事務などコツコツ、ミスが少ないことを要求される職業に適性があるでしょう。もし命式中に正財が2つ以上ある場合、合理的感情が強くなり、やたらお金に口うるさく、こだわりが強すぎる性質になります。食神・傷官が伴えば、正財は女性運と金運により恵まれます。財星はできれば蔵干にあると溜まりやすく、干上にあると出て行きやすくなります。お金を見せびらかすタイプか、隠しておくタイプか分かります。 正財は男性にとっては『正妻』を表しますので、正財が廻る年に結婚や恋愛に縁があります。

偏官

日干を剋す干で、同じ陰陽のとき偏官となります。偏官は数えて7つめの通変で、比肩を剋すので別名『七殺(しちさつ)』と呼ばれます。仕事、地位、権利、名誉など男性社会という意味があり、偏官を持つ人は独立心が旺盛で負けず嫌いで、競争心が強い人になりやすいです。自営業や会社経営に向きます。サラリーマンでしたら、自分の裁量で物事を決められる職に就くと良いでしょう。偏官は女性にとっては男性を表し、男性にとっては子供(男の子)を表します。上にあるか下にあるかで変わります。上にあれば見た目のアクが強くなり、下(蔵干)にあればシビアな性質になります。女性からみて男性を表す偏官ですが、これは夫以外の男性を表します。したがって偏官が巡るとき、男性の出会いには恵まれますが、不倫に陥りやすいとも読みます。ただし財星がなくて偏官があれば、色気はないけれど色欲だけが生まれてしまいます。オシャレにこだわらずメイクも下手、コンサバティブな嗜好なのにオトコ好き、という女性に多いです。食神・傷官があれば財を漏らすのでそうとはかぎりません。なお命式中に正官も同時にあると『官殺混雑(かんさつこんざつ)』と呼び、仕事や夫をいくつも変わる危険性があります。

正官

日干の我を剋す干で、異なる陰陽のとき正官となります。正官は偏官と同じく仕事などの意味がありますが、勤勉、まじめ、名誉といった意味もあり偏官に比べて保守的な要素が生まれます。女性にとっては夫を表し、男性にとっては子供(女の子)を表します。つまり正官が女の子で、偏官は男の子となります。正官を持つ人は、まじめで温厚、誠実な人が多く、頑固な面はあるが協調性もあります。そのような特徴があるせいか、サラリーマン向きと言えますが、他の通変の影響で会社を起業する人もいます。年干に正官があると出自がよく、先祖からの守りがあります。また正官が廻る年は、目上からの引立てを受けて仕事が発展したり、いままで平凡だった人が急に趣味や活動を始めたくなったりします。女性にとっては夫を表す男性運が巡るときですので、良い男性とのご縁ができやすいときです。ただし女性で傷官を持っていると、正官の男性は相性が悪いので注意です。傷官は正官を傷つけるため傷官と呼ぶのです。傷官の女性と正官の男性がもし結婚した場合、正官の男性は尻に敷かれ、傷官の女性から常にグチグチと嫌みを言われると考えてください。

偏印

日干を生じる干で、同じ陰陽のとき偏印となります。またの名を『倒食(とうしょく)』と言います。なぜなら偏印は、食神を倒す作用があるからこの名がつけられています。命式に偏印と食神がある人は、生活基盤である経済や、福禄というものに係わっており、財禄を食いつくし、奪い去るとして、古くは偏印を「呑啗殺(どんたんさつ)」とも言いました。特に女性は、婦人科系の病気にかかりやすく、また治りにくいとされています。偏印には継母とか乳母という意味があます。月支に偏印を持つ人は、移り気が多く臨機応変さがあり、芸術や宗教に縁を持ち、一見して分からないが精神的に変わった性格が多いです。独特な強い信条を持っていて、精神世界や形而上学的を好む傾向があります。野望が強く、自分の理想を実現化するため、経営者やビジネスマンとして活躍する人も多いです。偏印の人は食べるために働くのではなく、自分の理想の世界を創るために働くという動機で仕事を選びます。こだわりが強く、感情の起伏が激しく、人間関係もドライなのが特徴です。アップル創業者のスティーブ・ジョブズも偏印を持っています。禅の思想に傾倒し、病気になっても一般の西洋医療を否定して代替療法を選んだりする面と、理想とする端末を作らせるため妥協を許さず部下に厳しい人物でした。

印綬

日干を生じる干で、異なる陰陽のとき印綬となります。印綬のことを『正印』と呼ぶ流派もあります。偏印と比べると穏やかで、母親を意味し、学術、宗教、教育、長寿などを示します。印綬にも、偏印と同じく精神世界や形而上学(哲学や神学など)を好む傾向があります。とくに印綬を持つ人は神社仏閣好きが多いです。偏印や印綬を二つ以上持っている人は、霊感や直観が強かったりします。印綬は学術・教育の意があるので研究者、教授、弁護士、医師などの職業に向いています。またコンピュータなどの作業も得意で、肉体労働より頭脳労働派です。自分を表す日干を生じるため『母親』という意味がありますが、印綬を複数持つ人は甘えん坊でマザコン気質になりやすいです。また、保守的で慎重です。印綬が2つ以上あると偏印のような性質になる場合もあります。印綬は正財から剋されるため、それを緩和する正官があると発展します。正官を持っていれば研究熱心さと優れた技術力で、出世するでしょう。

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